2019.03.12
山梨県中央市は医大にほど近いアパートでの事例です。
「これは…ひどいな」
軒天の至る所染みだらけ。
天井が腐って落下した箇所まであります。
「……」
思わず無言になってしまう光景でした。
先ほどの軒天より上にある箱樋には水が溜まっていました。
「ドレン(排水口)は詰まっているけど、下に落ちている様子は無いな」
一先ずはたまった水を取り出す事が先決ですが、その前に仮説を立てます。
「エキスパンや立ち上がりの板金から漏ってはいないな」
板金同士の結合部や隙間から侵入しているケースを考えましたが違うようです。「ともあれ水を抜いてみるか」
ドレンの詰まりを解消し排水します。
「よし。これで原因をしっくり突き止められるぞ」
「やはり溜まった水が直接落ちてきた形跡はないな」
懐を調べてみても箱樋から直接雨漏りはしていません。「もしかして…」
「屋根だ。屋根の裏張りが水を吸い上げているのかもしれない」
板金屋根には結露防止のため【裏張り】というスポンジのようなフェルトを屋根面の裏側に貼っている場合があります。
通常は軒先から少し離れた箇所から貼られているのですが、築年数の古い建物の場合軒先の端まで貼られている事もあります。
先ほどの溜まった水をそれこそスポンジのように吸い上げ、鉄骨を伝わせ結果雨漏りとなっているようでした。
改善策としてはやり辛いですがカッターナイフと素手で裏張りを剥がしていくしかありません。
手探りで裏張りを剥がし終え、その後の雨漏りは止まったようです。
今回はドレンの詰まりとそれを起因とした水の吸い上げ。
原因が複合するときもあるという事例でした。